金沢の冬の風物詩:薦(こも)掛け
金沢では通勤に車を利用する人が多く、私もその一人です。
去年、後部座席に荷物を積んだ際に強風でドアが強めに閉まったんです。
そうしたら、2匹の猫ちゃんが車の下から、すごい勢いで飛び出してきたんです。
どこにいたのかは分からないけど、もしエンジンルームにいて、気付かずにエンジンスタートをしていたらと考えると・・・。
それからは、日産自動車が提唱している「猫バンバン」を行っています。
特に冬はmustですね。
猫ちゃんがどんな状態で、エンジンルームにいるかを調べてたら、株式会社マッシュメディアさんの記事に掲載されていたんで見てみて下さい。
どうも、ふぃじこです。
その冬の金沢の風物詩の一つが、「薦(こも)掛け」です。
「薦掛け」は全国ニュースでも、金沢の冬の準備はじまる、的な報道がされることが多いんで、知っている人も多いと思います。
金沢市民にとっては、ごく普通の冬の光景なんです。
が、その背景には、職人たちの心意気が秘められています。
薦(こも)掛けとは?
薦とは?
薦は藁(わら)の織物であるむしろのことです。
薦掛け
このむしろである薦を土塀に掛けます。
目的
雪によって土塀が傷むことを防ぐ為。
この雪によって土塀が傷むというプロセスは2つあります。
一つは、雪が融ける際に土塀の土を剥がしてしまう。
もう一つは、雪によって土塀に水分が浸み込み、その水分が凍った際に土塀にひび割れを起こす。
この2つを防ぐために、薦掛けを行います。
場所
長町武家屋敷跡。他、金沢市内の寺社、旧家。
期間
2017年は12月2日~3日の2日間で作業。薦外しは3月上~中旬頃。
規模
薦は約500枚。民家や施設の土塀に薦掛け。
土塀の長さは1100m(2017年)。
薦1枚は高さ95cm、巾3.6m。
金沢の冬の風物詩の背景
誰が薦掛けを行っている?
石川県造園業協同組合、金沢職人大学校の所属職人。
2017年は40人で薦掛けを実施。
金沢職人大学校
日本初の職人のための大学校。
職歴10年以上の職人のみが入学可能。各業種の組合の推薦が必要。(狭き門です!)
研修は19時~21時の夜間です。
日中の仕事を終えた職人さんたちが、夜に通うというスタイル。
3年間の研修で修了。
想いや情熱がないと、なかなか夜間に学ぶということは出来ませんよね。
尊敬に値します。
職人の想い
金沢は京都と異なり、町の規模も小さい上に、金沢の武家文化は江戸時代以降と、歴史も古くないんです。
と言うことは、職人が手掛ける寺社仏閣や民家の数は少ないということにつながります。
実はこれ、仕事をする寺社仏閣や民家が少ないということは、伝統技術を継承する人が少ないということなんです。
この伝統技術を継承するために生まれたのが、金沢職人大学校。
また、その継承した技術を発揮するのが、河北門や鼠多門などの金沢城の復元事業となります。
金沢は「小京都」ブランドを捨て、「金沢」ブランドを育てていく方向に舵を切っています。
その為には、職人の伝統技術の継承は不可欠なんです。
金沢の冬の風物詩である「薦掛け」。
その背景には、金沢の伝統を守る職人の心意気があることを知っておいてもらうと、想いがこもった「薦掛け」として見て貰うことが出来ると思います。
では、今回はこのへんで。
場所
高田家MAP
新家邸長屋門MAP
長町武家屋敷跡MAP
金沢職人大学校MAP