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金沢 穴場の観光スポット 金沢城~近江町市場の間にある【黒門前緑地】

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金沢観光で多くの人が訪れる金沢城。

その金沢城の周辺には、近江町市場・兼六園・尾山神社などの金沢を代表するような観光スポットがあります。

 

同じ金沢城周辺でも、あまり知られていないような穴場の観光スポットもあります。

 

その一つ、黒門前緑地をご紹介。

 

穴場は金沢城黒門口から徒歩1分・近江町市場から徒歩5分

 

金沢城 黒門と近江町市場間のルート上にあるのが、黒門前緑地。

余裕で徒歩圏内です。

 

元々、金沢城 黒門前のこの場所は金沢地方検察庁検事正の官舎の敷地として使用されていました。

2001年に金沢市が整備し、黒門前緑地となります。

 

黒門は江戸時代には西丁口門と呼ばれていた金沢城への出入り口です。
明治時代以降に、今の黒門という名称になりました。

 

金沢城 石川門 別称「白門」

 

この黒門は、金沢がある加賀藩ゆかりの色の名前が付いた3門(黒門、白門、赤門)のうちの一つ。

 

【金沢城】金沢観光の定番 知っておくと倍楽しめる

 

 

黒門前緑地は、金沢城の黒門と近江町市場を行き来する道沿いの為、ふらっと立ち寄りやすい場所にあります。

 

黒門前緑地のポイントは3つ

 

この黒門前緑地は、大きく3つのポイントで構成されています。

 

  1. 高峰譲吉の実家の移築
  2. 金沢地方検察庁検事正の官舎の保存
  3. 加賀藩藩祖前田利家の4女豪姫の住居址?

 

以下では少し詳しく紹介します。

 

金沢にゆかりがある高峰譲吉の実家を移築

 

世界的に有名なアドレナリンの発見者である、高峰譲吉の実家の一部を移築。

現在、黒門前緑地で見ることが出来るのは、書斎と茶室として利用された実家の離れ。

 

旧高峰家 茶室前の茶庭

 

高峰譲吉の実家は、元々はこの黒門前緑地にほど近い現在の大手町(旧梅本町)にありました。

それが一度、金沢市湯涌の旧江戸村に移築。
その後、2001年に現在の黒門前緑地に再度移築されています。

 

旧高峰家の茶庭はオーソドックス。

 

黒門前緑地に入ると、大きく二つの建物群に分かれていますが、正面から入って左側の2つの茶室が、旧高峰家。

 

残念ながら、旧高峰家内には、入ることが出来ません。
外から観るだけになります。

 

旧高峰家 茶室

 

2度の移築をしてまで保存するのは、古い街並みを大切にする金沢らしさと言えるかもしれません。

又、高峰譲吉という、金沢にゆかりの巨人を称えるという意味もこめられているのでしょう。

 

金沢地方検察庁検事正官舎の保存

 

実際に検事正官舎として、1995年まで使用されていました。
結構、最近まで使われていたんです。

 

官舎の一部と土塀でまわりを囲う屋敷の構造を保存。

洋風建築と、続きになった和風建築の一群が、検事正官舎となります。

 

洋風の応接と、木で格子を組んだ格天井(ごうてんじょう)の十畳の座敷が特徴的。

 

茶会が開催されている際は見学できません

 

検事正官舎は、中の見学も可能。

但し、検事正官舎が貸し切りの際は、中の見学は出来ません。

 

藩祖前田利家四女 豪姫の住居址とも

 

この黒門前緑地辺りで、加賀藩の藩祖 前田利家の4女 豪姫が暮らしていたとされています。

 

豪姫は、前田利家と妻まつとの間に生まれた4女。
数え2歳で、当時子供がいなかった羽柴秀吉夫婦の養子となります

 

その後、豊臣政権の五大老の一人宇喜多秀家に嫁ぎます。
が、1600年の関ヶ原の戦いで宇喜多秀家は敗れ、秀家と息子たちは八丈島へ流されます。

 

一方、豪姫は、その後秀吉の妻 高台院に仕えますが、1607年頃に金沢に引き取られました

その時に暮らしたのが、黒門前緑地周辺だったとされています。

 

豪姫は金沢に戻った後、今の黒門前緑地周辺で暮らしたと伝わる

 

見所

 

黒門前緑地のおすすめの見所は3つ。

 

  1. 旧高峰家の茶室天井
  2. 十畳座敷縁側の庭と旧高峰家前の庭
  3. 官舎の近代和風建築

 

旧高峰家の茶室天井

 

旧高峰家の茶室の天井は江戸更紗(さらさ)風のふすま紙を使用。

 

元々、江戸更紗はわび・さびを感じさせる渋味を特徴とした染物。
渋さを特徴としているといっても、決して暗い印象ではありません。

 

旧高峰家 茶室の天井には、江戸更紗風のふすま紙が使われる

 

むしろ、高峰家の茶室は、天井にこの江戸更紗風のふすま紙を使用したことにより、一般的な茶室とは異なり、明るくあかぬけしている雰囲気があります。

 

黒門前緑地には、旧高峰家として、2つの茶室がありますが、各々異なる江戸更紗風ふすま紙が使用されています。

 

旧高峰家の2つの茶室では異なるふすま紙が天井に使われる

 

少しあかぬけした感じの茶室と2種類の江戸更紗風のふすま紙天井を楽しんでみて下さい。

ちなみに、旧高峰家は中に入ることは出来ませんが、外から天井を見ることが可能です。

 

十畳座敷縁側の庭と旧高峰家前の茶庭

 

決して、大きな庭ではありません。
が、官舎側の庭園は、開放的な雰囲気がある為、広く感じられます。

 

また、十畳座敷の縁側から見た時と、洋館から見た時の印象の違いを楽しめます。

 

検事正官舎の十畳座敷縁側からの庭園

 

旧高峰家側の庭は、いかにも「露地」という庭園。

※露地:茶室の庭園のことを言い、茶庭ともいう。

 

旧高峰家 茶室前の茶庭

 

旧高峰家の茶室の下屋(げや)が、茶室の建物の陰影を強調している為、一層全体としての露地の渋さが感じられます。

※下屋:建物本体を覆う屋根よりも下に作られる小さい屋根。

 

旧高峰家 茶室:下屋により陰影が引き立つ

 

雰囲気の異なる官舎側の庭園と、旧高峰家前の茶庭の違いも楽しめます。

 

官舎の洋風建築

 

隣接する旧高峰家の茶室や庭が和を印象付ける中で、本来は異質に感じられるであろう洋風の建物。
でも、不思議と違和感もなく、馴染んでいます。

 

なぜか馴染んでいる理由は、恐らく近代和風建築の様式の為だと思われます。

検事正官舎から庭園を臨む

 

この官舎は、1910年に兼六園近くに建設されたのを、1918年に今の場所に移築。

 

時代的には、明治末期から大正時代にあたります。
この時代は、急速に西洋化が進められます。

 

と同時に、西洋の技術を取り入れた新しい日本的な建物が多く建設されています
(例えば、箱根の富士屋ホテルなど)

 

近代和風建築=西洋の技術+和風といえる訳で、その流れで建設されたのが、この検事正官舎です。

西洋風なんだけども、どこか日本的。和風なんだけど、どこか異国情緒があるという不思議な建物。

 

これが、周りの純和風(?)の建物の中でも、違和感なく馴染んでいる理由だと思います。

 

金沢の町並みは、基本的に江戸時代の武家文化を意図的に色濃く残しています。

 

そんな中でこの検事正官舎は、明治~大正の近代和風建築の様式が用いられており、典型的な「金沢」とは違った趣を楽しめます。

 

まとめ

 

金沢を代表する金沢城や近江町市場の近くにあるにも関わらず、ひっそりとたたずむ黒門前緑地。

 

でも中は、金沢ゆかりの偉人の実家や近代金沢の建物が残されていたりします。

 

金沢城や近江町市場への行き帰りに立ち寄ることが出来る穴場スポットです。

 

黒門前緑地のアクセス・公開時間etc

 

 

但し、茶会等で使用されている場合は見学が出来ませんので、注意が必要。

 

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