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氷室開きは金沢に江戸時代から伝わる初夏の風物詩

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金沢では6月30日に、初夏の風物詩「氷室開き」が行われます。

当日は石川県のニュースで必ず取り上げられる程、金沢では非常にメジャーなイベントです。

 

しかし、この氷室開きは石川県県全体ではなく、金沢市だけと言っていいほどの限定されたイベント。

金沢市民は江戸時代から伝わる習慣に、行列を作ってまで、氷室開きの日を迎えます。

 

そんな超限定的な氷室開きの由来、当日金沢市民は何をしているかをご紹介します。

 

氷室開きとは?

 

氷室開きとは冬に貯蔵した雪氷を、氷室(ひむろ)と呼ばれる貯蔵庫から切り出す、金沢に江戸時代から伝わる行事のことをいいます。

 

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冬の雪氷を貯蔵する氷室小屋                          写真提供:石川県観光協会

 

【氷室開きの由来】

 

この氷室開きは、藩政時代に加賀藩が江戸の徳川将軍家へ雪氷を献上していたことに由来。

 

金沢では現在の7月1日(旧暦の6月1日)を「氷室の日」と呼びます。

江戸時代の藩政期には旧暦6月朔日(ついたち)を「氷室の朔日(ひむろのついたち)」と呼んでいました。

 

この氷室の朔日には、宮中や幕府では、「氷の節句」という年中行事が行われます。

金沢でこの時期に氷室を開いていたのは、年中行事である氷の節句に間に合わせる為とされています

※氷室の朔日:元々は宮中行事に由来し、氷の朔日と呼ばれる。石川県では「氷室の朔日」と呼んでいる。

 

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氷室開きは徳川将軍家に献上するため。                          写真提供:金沢市

 

氷室から切り出された雪氷は「白山氷」と名づけ、徳川将軍家に献上。

冷蔵・冷凍施設がない藩政期においては、献上というくらいですので、氷は非常に貴重なもの。

今から思うと、外様の加賀藩は、氷を献上したり、色々と気を使って大変だったのでしょうね。

ここから、金沢では「氷室の日」は特別な日になっていきます。

 

【氷室は姿を消す】

 

金沢では、名君とされる加賀藩5代藩主 前田綱紀(つなのり)の時代に、町民にも氷を食べることが許可されます。

以降、金沢では多くの氷室小屋が作られます。

 

とは言え、夏の氷は主に目上への贈答や病人に使われるほどの貴重なものでした。

たかが氷とはいえ、製氷技術がない当時は氷室小屋が増えても、貴重なものに変わりがなかったそう。

 

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藩政時代の夏の氷は貴重品。当然、こんなかき氷はありません。

 

その後、製氷技術の発展に伴い、役目を終えた氷室小屋は次第に姿を消します。

それでも、昭和初期までは実際に使われていました。意外と近年まで使われていました。

 

金沢の湯涌温泉で氷室開き

 

現在の氷室開きは、金沢市郊外の湯涌(ゆわく)温泉で行われます。

これは、湯涌の氷室を1986年より復元させ、氷室開きも復活させたもの。

 

【現在の氷室への仕込み(観光客も参加可)】

 

夏に氷室開きを行うということは、当然、冬に氷室への雪の仕込みがあります。

 

実はこの雪の仕込みには、観光客も予約なしで参加することが出来ます!

仕込みは、毎年1月の最終週の日曜日

例年約60tの雪が仕込まれます。

 

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観光客も氷室への雪の仕込みに参加できます                    写真提供:金沢市

 

当日は、湯涌温泉の夢二館前広場で、蒸したばかりの氷室まんじゅうやめった汁が販売されます。

※めった汁:石川県の郷土料理。豚汁にさつまいもを入れたもの。

 

また、湯涌温泉総湯「白鷺の湯」の回数券が割引販売されるのが恒例。

(氷室の仕込みの際と、氷室開きの年2回のみの割引販売:通常価格3,800円→割引価格3,300円)

 

氷室への仕込みの参加は子供が意外と多いですよ。

特に取り決めがある訳ではないのですが、子供が優先して仕込みの体験をさせてもらえます。

 

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氷室への雪の仕込みは子供も参加できます。                 写真提供:金沢市

 

但し、雪が少ないと参加できない場合もありますので、ご注意を。

 

【現在の氷室開き】

 

毎年6月30日に氷室開きが行われます

平日であっても、6月30日に行われます。

氷室開きの行事は、藩政時代の方法・装束で行われ、多くの観光客が見学に訪れます。

 

氷室開きは藩政時代の装束で行われる。                     写真提供:金沢市

 

最初に切り出された雪氷の一部は、同じ湯涌地区にある薬師寺に献上。

最初の雪氷の残りは、茶湯として、見物客に振る舞われます。

 

氷室開きの際は、氷室の仕込みの際と同じ湯涌温泉の夢二館前広場で、氷室まんじゅう・そうめんが販売されます

また、湯涌温泉総湯「白鷺の湯」の回数券の割引販売があります。

(氷室の仕込みの際と、氷室開きの年2回のみの割引販売:通常価格3,800円→割引価格3,300円)

 

藩政時代には、切り出された雪氷は江戸の徳川将軍家に献上されていました。

現在はもちろん、徳川家には献上されていません。

現在は、切り出された雪氷は、

  • 石川県知事
  • 金沢市長
  • 東京都板橋区
  • 東京都目黒区

に贈られます。

板橋区と目黒区に贈られるのは、両区と金沢市が友好都市協定を結んでいる為。

 

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氷室開きで取り出された雪氷は板橋区、目黒区へも「贈られる。              写真提供:金沢市

 

ちなみに、板橋区には、江戸時代に加賀藩の下屋敷があり、目黒区には、現在は駒場公園として整備されている場所に前田本家の16代当主前田利為邸がありました。

その縁で両区と金沢市は友好都市協定を結んでいます。

 

【氷室の日は金沢市民は氷室饅頭を食する】

 

では、現在の7月1日の氷室の日には、金沢市民は何をしているのか?

この日は、金沢市民は和菓子屋さんに行列を作ってまで、氷室饅頭と呼ばれる酒饅頭を買い求めます。

この習慣の浸透ぶりは、県外者からすると想像を絶すると思います。

 

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金沢では7月1日の氷室の日に氷室饅頭をを食べる習慣が根付いています。           写真提供:金沢市

 

氷室饅頭を食べる習慣は藩政時代に始まり、氷室自体が姿を消しても、氷室饅頭を7月1日に食べる習慣は残り続けました。

この日に氷室饅頭を食べるのは、諸説あるのですが、無病息災を願ってとされています。

 

氷室饅頭は金沢市民が7月1日にこぞって食べる和菓子です

 

もし、あなたが7月1日に金沢にいらっしゃっていたら、金沢に伝わる伝統を、氷室饅頭を食することで触れてみませんか?

 

まとめ

 

江戸時代から金沢で伝えられてきた氷室開き。

 

元々は、夏に氷を徳川将軍家へ献上を行う為に行われていた行事です。

その中で、無業息災を願う氷室饅頭が誕生し、現代に伝えられています。

 

又、氷室への雪の仕込みや氷室開きは、伝統文化を受け継ぎつつ、観光事業化されています。

 

あなたが知らない金沢の文化の一つをこれで知ってもらえればと思います。

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