金沢・北陸の音色">
金沢観光での楽しみのひとつが
金沢の食事。
金沢で食事といえば、
寿司やカニをイメージしますよね。
一方で、金沢では、割烹や料亭などで
「加賀料理」という言葉を目にすることも。
でも、「加賀料理」って何?どんな料理?
そんな金沢初心者の方に「加賀料理」を解説します。
加賀百万石の藩都として栄えた金沢。
その金沢で、「加賀料理」と言われると
イメージするのは、大名料理のような
ものかも知れません。
でも実際は、加賀料理は、金沢の郷土料理がベース。
その金沢の郷土料理に、
伝統文化・東西文化を
融合させた料理で、
一般的に料亭料理とされます。
京料理は、「だし」を基本として、
京野菜を使用し、伝統的な技術に
裏付けられた調理方法によって
つくらえる料理と規定されています。
一方、加賀料理は、
実は、加賀料理には、定まった定義は
ありません。
それどころか、
いつから加賀料理と
呼ばれるようになったかも
はっきりしていません。
一説では、元首相吉田茂の息子である、
英文学者・小説家の吉田健一が
名付け親であるとされています。
吉田健一は、長編小説「金沢」を
書いており、
何度も金沢に滞在。
金沢滞在時の定宿が、現在も金沢を代表する
料亭のひとつである「つば甚」でした。
その「つば甚」で、もてなされる食事に
感じ入ったことで、
加賀料理と名付けたのかもしれません。
加賀料理は、
伝統文化・東西文化・郷土料理が
融合した料理といわれます。
その内容をざっくり解説。
「器は料理の着物」
これは、金沢とゆかりがあり、
陶芸家・美食家であった
北大路魯山人の言葉。
料理の美は建築や天然の美と同じである。
刺身の取り合わせのツマの色や形に
注意が払われるのは、料理に美しさを与え、
それによって、料理が美味くなるからである。
それと同じで、よい料理にはよい食器美術が
必要と、魯山人は述べています。
それを地で行っているのが、加賀料理。
料亭で供される加賀料理では、
九谷焼や金沢漆器、輪島塗などの
伝統工芸の器が使われます。
料理からは味覚を、
伝統工芸の器からは視覚を
楽しませてくれるのが加賀料理。
加賀料理では、料理と伝統工芸は
切っても切れない関係なのです。
織田信長の登場前の金沢は、一向宗の
本願寺が支配する町でした。
本願寺の影響が強かったため、
金沢に京風の食文化が流入。
織田信長登場により、
本願寺の支配が終わっても、
豊臣秀吉の影響下で、途切れることがなく、
京風の食文化がさらに育てられます。
その秀吉と親交が深かった
加賀藩藩祖の前田利家は、
茶や能を好み、秀吉への接待は、
京風でもてなしたされます。
藩政時代も3代藩主利常などによる
政策として、
京風の文化が金沢では奨励されます。
つまり、金沢では、かなり長い時間をかけて、
西の文化がしっかりと根付いたといえます。
一方、江戸時代の加賀藩は、
徳川幕府の配下にあり、
また、徳川将軍家と婚姻関係を
結んでいます。
そのため、儀礼的なことは、
江戸風に従うことにより、
江戸の文化も金沢に流入。
東の文化も金沢に影響を与えることに。
【金沢城】金沢観光の定番 知っておくと倍楽しめる「門」のこと
東大の赤門は、加賀百万石と言われた加賀藩と深い関りがあるって知ってた?金沢城の「門」について紹介しています。
こうして、金沢は東西の食文化の影響を
受けることになったのです。
現在の金沢の食文化でも
京風と江戸風が混在する名残と
されることがあります。
それは金沢の雑煮の餅。
金沢では、雑煮の餅は、
丸餅と角餅のふたつが並存しています。
藩政時代前から金沢にある家では、丸餅。
つまり京風です。
武士や加賀藩の御用商人であった家は、
角餅。
江戸風です。
ちなみに、金沢で角餅が広がったのは、
徳川家の珠姫が、加賀藩3代藩主利常に
輿入れした際と言われます。
金沢では今でも、東西文化の影響を
身近に感じることが出来るんです。
加賀料理は、東西文化の影響を
受けていますが、
京料理でも大名料理でもなく、
郷土料理がベース。
郷土料理とは、一般的に、
その地域で定着している収穫物を、
その地域オリジナルの調理をほどこし、
その地域で広く伝えられている料理とされます。
金沢は、魚介類、穀物、野菜、水と
自然からの恵みが豊富。
この自然の恵みが、加賀料理のベースである
郷土料理を生み出したのです。
例えば、魚介類。
金沢がある石川県は日本海に面しています。
日本海には、
暖かい南からは対馬海流、
冷たい北からはリマン海流が流れこみます。
金沢で食される、
暖かい水域に住む魚の代表が
アカムツ。
あなたもご存知の「のどぐろ」のことです。
金沢で食される、
冷たい水域に住む魚の代表は、
幻の魚ともいわれる
深海魚のゲンゲ。
このように日本海には、
二つの海流を伝って、
多種多様な魚介類が集まり、
金沢で食されます。
陸では、金沢は金沢平野に立地。
金沢平野は、穀倉地帯で、
コシヒカリが収穫されます。
米だけでなく、金沢平野では
加賀れんこん等も栽培。
金沢平野の海沿いの砂丘では、
五郎島金時、源助だいこんが収穫されます。
これらは、ブランド化され、
「加賀野菜」と呼ばれます。
金沢は土地からの恵みも豊かで、
加賀料理には欠かせない食材を
手に入れることが出来るんです。
金沢は、料理に欠かせない水も豊か。
金沢は豪雪地帯であり、
年間降水日数が
日本有数。
金沢の湿気は想像以上!金沢は日本有数の降水日が多い街!
その雪解け水や雨水だけでなく、
日本三大名山の白山からの名水も
加賀料理の根底を支えています。
ちなみに、金沢は、
その数55、長さは合計150kmに
及ぶとされる、用水のまち。
藩政時代から用水の水は、
兼六園や武家屋敷の庭に引き込まれ、
加賀料理だけでなく、金沢の武家文化をも
支えるほど、水にも恵まれています。
地の利がもたらす自然の恵みが、
金沢の郷土料理を形作り、
加賀料理のベースとなっています。
こういった、海・土・水の恵みが
金沢に加賀料理の要素である
様々な郷土料理を生み出しています。
藩政時代 加賀藩の城下では、
自宅に客人を招く「およばれ」と
呼ばれる行為が習慣化していました。
この習慣化した「およばれ」の習慣を
受け継いだのが、金沢の料亭。
金沢の料亭では、庭をしつらえ、
伝統工芸の器を使い、
東西文化の影響を受けつつ、
郷土料理をベースとした料理で
もてなします。
藩政時代の「およばれ」の習慣を
料亭が引き継ぎ、
「もてなし」として熟成されたものが、
加賀料理なんです。
で、加賀料理って、どんなメニューがあるの?
ここでは、加賀料理を代表する
定番メニューをご紹介。
治部煮は、現在の金沢の家庭でも、
比較的食される郷土料理。
治部煮は年中を通して、
食べることが出来ます。
が、金沢では、
冬の代表的な郷土料理という
認識が強い料理です。
治部煮は
味がしみ込むようにそぎ切りした
鴨肉(もしくは鶏肉)に
小麦粉をからませているのがポイント。
肉に小麦粉をからませることにより、
だし汁にとろみをつける効果が。
そうすることにより、
肉の旨味が閉じ込めているんです。
小麦粉をからませた
鴨肉(若しくは鶏肉)以外には、
金沢特産のすだれ麩・しいたけ・
青菜(セリやホウレン草) が具。
それらを、醤油・砂糖・
酒・みりんを合わせた
甘めのだし汁と一緒に
煮た料理が治部煮です。
大野醤油 大野湊食堂のラーメンがとにかく優しい!懐かしい!【金沢】
加賀料理に欠かすことが出来ない、金沢名産 大野醤油。うまくち醤油と呼ばれる大野醤油を使ったラーメンを味わうことが出来、映画のロケにも使われた「大野湊食堂」を紹介しています。昭和感あふれた懐かしい味と雰囲気を楽しめますよ。
具のすだれ麩には、だし汁がしみ込み、
口の中いっぱいにだし汁の
甘みが広がります。
文字通り、いい味をだす役割を果たします。
また、香りを添えるのと同時に
味を引き立てる吸い口として、
わさびが使われるのが特徴。
治部煮は器にもこだわりが。
治部煮は、
「治部椀(じぶわん」 と
呼ばれる、平べったい器に
盛りつけられます。
治部煮には、専用の器が用意されるんです。
普段の金沢の食卓ではあまり食されません。
それは、婚礼や祭礼などの
ハレの席に出される料理だから。
もっとも、最近はめでたい席でも
供されることが少なくなっています。
年中を通して、食べることが可能です。
鯛の唐蒸しは、
鯛のお腹に、卯の花(おから)を詰めて、
蒸しあげられた料理。
お腹に詰められる卯の花は、
銀杏(ぎんなん)・キクラゲ・百合根・
レンコン・ニンジンなどを
混ぜ合わせています。
鯛の唐蒸しの特徴は、
卯の花を詰める際には、
鯛を腹開きではなく、背開きにすること。
武家社会であった金沢では、
腹開きは切腹を連想させ、
縁起が良くない為、必ず背開きです。
婚礼の際には、雄雌の2尾が
九谷焼の大皿に盛られます。
その際、雄雌の2尾は腹合わせに盛られ、
「にらみ鯛」や「鶴亀鯛」と
呼ばれます。
蓮蒸しの「蓮(はす)」は
れんこんのことです。
れんこん料理といえば、
れんこんのかたちをそのまま利用し、
シャキシャキとした食感を楽しむ
ものが多いですよね?
蓮蒸しは、れんこんをすりおろし、
それを蒸し、あんをかけた料理です。
れんこん以外の具は、
白身魚や海老・銀杏や百合根、
にんじんなどが
入っています。
店や家庭によって、具は異なり、
その具もれんこんの上にのせたり、
混ぜたりと
味も見た目も違いが出ます。
旬の時季は、7月~8月。
蓮蒸し自体は、全国の居酒屋や
割烹なんかでも
目にすることがあると思います。
加賀料理の蓮蒸しの最大の特徴は、
加賀野菜のひとつである
加賀れんこんが使われること。
蓮蒸しは通常、れんこんに
つなぎとして片栗粉などを使用します。
加賀料理の蓮蒸しではつなぎは使わず、
加賀れんこんだけでまとめられます。
加賀れんこんは、他のれんこんに比べて、
粘り気が非常に強いのが特徴。
それは、加賀れんこんは、でんぷん質が
豊富なため。
加賀れんこんは、蒸されることにより、
でんぷんが水を吸い、糊状になります。
そのため、加賀料理の蓮蒸しには、
つなぎを必要としないんです。
加賀れんこんの特徴を
うまく使っているのが、
加賀料理の蓮蒸しと言えます。
ちなみに、金沢市は、全国でも有数の
れんこんへの支出額が多い街。
金沢市は、総務省の家計調査では、
県庁所在地別2016年~2018年の
平均で、世帯当たりの
れんこんに対する支出金額が
全国2位!
加賀料理は先にも述べましたが、
一般的に料亭料理とされます。
金沢の料亭の多くでは、
料理を味わうだけでなく、
しつらえられた庭を眺め、
伝統工芸である食器と一体になった
料理の美しさも楽しむことが出来ます。
舌と目の両方で楽しむことができるのが、
加賀料理。
でも、金沢初心者のあなたは、
「いきなり、料亭は敷居が高い」と
お思いになりませんか?
また、「花より団子!」と
いう方もいらっしゃいますよね?
大丈夫です。
加賀料理は、郷土料理がベースです。
庭がなくても、伝統工芸品に
盛り付けられることがなくても、
加賀料理を楽しむことは出来ます。
そんな、あなたに金沢の料亭以外で、
加賀料理を味わえるお店をご紹介。
※最新の情報は、
紹介内容と異なる場合があります。
事前にご確認をお願いします。
金沢駅から、徒歩5分の場所にあります。
「気軽にふらっと」をコンセプトとした
お昼の会席料理があるのが、うれしい。
治部煮が組み込まれた
お昼の会席もあり、
気軽に加賀料理の代表メニューも
楽しめます。
住所 | 金沢市此花町7-5-1 |
TEL |
076-231-5121 |
営業時間 |
ランチ:11:30~14:30(ラストオーダー 13:45) ディナー:17:00~22:00(ラストオーダー 21:30) |
定休日 | 年中無休(臨時休業・正月休みがあります) |
駐車場 | なし |
クレジットカード | VISA, Master, AMEX, JCB |
URL | https://www.kanazawaryouri.com/ |
ネット予約 |
可 |
地元金沢にとどまらず、全国のメディアに
割烹の概念を覆す割烹として、
多数取り上げられています。
治部煮や蓮蒸しの
加賀料理メニューだけでなく、
加賀野菜の源助大根を使った
ぶり大根など、メニューが豊富。
カウンター以外は全て個室の部屋で、
贅沢感を感じられますよ。
住所 | 金沢市片町2-32-4 |
TEL |
076-234-2121 |
営業時間 |
17:30~23:00 ※昼の営業は、8名以上で要予約 11:30~14:30 |
定休日 |
日曜日 ※月曜が祝日の場合は、月曜が休み。 |
駐車場 | 5台 |
クレジットカード | VISA, Master, AMEX, JCB, DC |
URL | http://www.kappotakeshi.jp/index.html |
ネット予約 |
可 |
ひがし茶屋街近くの
梅ノ橋のたもとにあるお店。
周りの雰囲気は抜群です。
芸能人が多数訪れることでも有名。
生け簀が完備されており、
新鮮な魚を楽しむことが出来ます。
もちろん、加賀料理の治部煮・蓮蒸しも
メニューにあります。
住所 | 金沢市並木町2-18 |
TEL | 050-5828-7947 |
営業時間 |
ディナー:17:00〜23:30 ランチ:12:00~14:00 12月28日~1月4日まではコースのみ |
定休日 |
水曜日
|
駐車場 | 無 |
クレジットカード | VISA, Master |
URL | http://www.kanazawatamura.com/ |
ネット予約 | 可 |
お店は長町武家屋敷跡近く。
武家屋敷跡散策後に
立ち寄ることが出来ます。
武家屋敷跡にも近いことから、
加賀料理のルーツである、
加賀藩城下の「およばれ」を
体感しているかのよう。
店内は、カウンター席・個室を用意。
加賀料理の治部煮・蓮蒸しだけでなく、
「ごりの佃煮」やオコゼのから揚げが
メニューにあるなど、
金沢の郷土料理も楽しめます。
また、1シーズンで
2000杯販売した実績の
厳選された加能カニ・香箱ガニや
かぶら寿司などの金沢の郷土料理の
ネット通販も行っています。
加能カニ・香箱ガニの情報はこちら。金沢の割烹 菊・よし さか井が厳選の加能カニ・香箱ガニも紹介しています。
住所 | 金沢市長町2-1-1 |
TEL | 076-262-8131 |
営業時間 |
ディナー:17:00〜23:30 ランチ:11:30~14:30 ※元日~1月4日までは休み |
定休日 |
無し(但し、臨時休業があります) |
駐車場 | 1台 |
クレジットカード | VISA, AMEX, JCB, 銀聯 |
URL | http://kanazawa-city.net/kikuyoshi/index.html |
ネット予約 |
可(ぐるなびにて) |
一見、敷居が高そうな加賀料理。
でも、少し内容を知ると、
金沢市民が日常でも食べている
料理だったりします。
金沢には、カニ・寿司など、
食欲をくすぐられるグルメが
目白押しです。
そんななかに、加賀料理という
選択肢も加えてみては如何ですか?
以上、金沢初心者の方むけの
加賀料理のご紹介でした。