金沢・北陸の音色">
北陸新幹線が2015年に開業して以来、金沢へ来る人は増えており、2018年8月には北陸新幹線の利用者も3000万人を突破しました。
北陸新幹線の開業により、金沢・東京間がより日帰り圏内となり、出張族のよる「金沢で宿泊して、おいしいものを食べる楽しみが減った」とぼやく声が僕の周りでも増えています。
大阪・名古屋と金沢間は元々日帰り圏内にあったので、これで金沢と三大都市間は全て日帰り圏内になったことになります。
とは言え、金沢に支店や営業所を構えている企業も多く、家族で・単身でと、金沢に転勤で来られる人も少なくないのも事実。
このページは、特に東京・大阪・名古屋などの太平洋側からいらっしゃる人は必読です。
金沢の湿度は想像以上です。
金沢市民がこの湿度に対して、どんな対策をしているかをお教えします。
事前に知っていると想定外の出費、という事態にはならないですよ。
金沢の高湿度な気候は、日本海側の気候の典型的な特徴です。
それは、夏は蒸し暑く、冬は重い湿った雪が降るという気候。
どれだけ金沢の湿度が高いかを気象庁のデータから抜き出してみました。
湿度データ:単位(%) |
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東京 | 大阪 | 金沢 | |||||||
2011~15年 | 2016年 | 2017年 | 2011~15年 | 2016年 | 2017年 | 2011~15年 | 2016年 | 2017年 | |
1月 | 44.6 | 55 | 53 | 59.4 | 61 | 62 | 75 | 74 | 69 |
2月 | 52 | 56 | 49 | 60.6 | 60 | 62 | 70.2 | 71 | 68 |
3月 | 54 | 61 | 60 | 58.6 | 58 | 56 | 66.2 | 63 | 63 |
4月 | 59 | 67 | 66 | 58.6 | 63 | 60 | 63.6 | 64 | 60 |
5月 | 62.6 | 66 | 72 | 59.8 | 61 | 58 | 65 | 64 | 62 |
6月 | 73.6 | 75 | 73 | 69.4 | 72 | 63 | 73.6 | 71 | 69 |
7月 | 73.8 | 80 | 78 | 71 | 70 | 72 | 73.2 | 74 | 74 |
8月 | 72.4 | 78 | 83 | 68 | 63 | 67 | 72 | 71 | 73 |
9月 | 71.4 | 86 | 79 | 67.6 | 74 | 66 | 72.4 | 78 | 70 |
10月 | 66.2 | 72 | 82 | 63.6 | 67 | 76 | 68.2 | 68 | 74 |
11月 | 61.6 | 71 | 67 | 65.4 | 69 | 66 | 72.4 | 69 | 68 |
12月 | 52.8 | 59 | 56 | 61.8 | 67 | 60 | 74.8 | 70 | 71 |
平均 | 62 | 68.8 | 68.2 | 63.7 | 65.4 | 64 | 70.6 | 69.8 | 68.4 |
※出典:気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
※気象庁 過去気象データ検索をもとに作成
このデータを見てみると、年平均では、東京の2017年と金沢では、ほとんど差がありません。
大阪と比較しても、2017年は4ポイント程度の差です。
「な~んだ。言うほど、金沢だからって飛び抜けて多湿って訳じゃないじゃん!」と思うかも。
確かに、年の単純平均値を比較すると、それほど値に差がありません。
ですが、これが単純平均値の落とし穴なんです。
金沢が県庁所在地である石川県は、全国の中でも、人口10万人当たりの火災の発生件数が少ないのが特徴的なんです。
火災出火件数(人口10万人当たり)2015年:件 | 建物火災出火件数(人口10万人当たり)2015年:件 | ||||
45位 | 石川県 | 20.8 | 47位 | 石川県 | 11.4 |
41位 | 大阪府 | 25.3 | 25位 | 大阪府 | 17.5 |
21位 | 東京都 | 33.1 | 3位 | 東京都 | 21.8 |
– | 全国 | 30.8 | – | 全国 | 17.5 |
※出典:総務省「統計でみる都道府県のすがた 2018」
これは、石川県の湿度が高いためと言われています。
この湿度が高い理由が、石川県の年間降水日の多さ。
そのデータが下のデータとなります。
年間降水日数 2016年 | ||
1位 | 石川県 | 177日 |
25位 | 東京都 | 113日 |
34位 | 大阪府 | 105日 |
※出典:総務省「統計でみる都道府県のすがた 2018」
石川県では、年間の日数の内、約48%が雨や雪ということです。
つまり、石川県で火災発生件数が少ないのは、年間を通じて降水日が多く、湿度が高い為と言えそうです。
湿度データの年平均では、金沢と東京・大阪との比較では、驚くほどの差はありませんでした。
でも、一方では、金沢がある石川県では降水量が多く、湿度が高い為、火災発生件数も少ないというデータもあります。
これは、金沢の冬の湿度にポイントがあるんです。
改めて、金沢と東京・大阪の冬の湿度データを見て下さい。
湿度データ(12月~2月の3カ月平均) | |||
東京 | 大阪 | 金沢 | |
2011~15年 | 49.8% | 60.6% | 73.4% |
2016年 | 56.7% | 62.7% | 72.7% |
2017年 | 52.7% | 61.3% | 69.3% |
金沢との差平均 | 18.7 ポイント |
10.3ポイント |
– |
※出典:気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
※気象庁 過去気象データ検索をもとに作成
12月・1月・2月の冬3カ月の湿度を比較すると、年間平均の4ポイントの差だったのが、冬には湿度の差が大きくなることが分かると思います。
東京・大阪の冬は乾燥していることが多いと思います。
一方、金沢の冬は逆に湿度が非常に高く、そのことが、火災の発生件数が少ないというデータにも結び付いています。
この金沢市・石川県の湿度の高さが、金沢や石川県の伝統文化に大きく影響しています。
金沢の伝統文化として挙げられることが多いのが、「金箔」。
その金箔生産の総生産量シェアの99%を占めているのが、金沢。
金箔は10000分の1ミリと非常に薄く延ばされます。
その薄さから空調の風で飛ばされたり、静電気で引っ付いたり、破れたりと扱いが難しい。
その点、金沢は湿度が高く、静電気が発生しづらい気候で、金箔造りに最適な環境と言えます。
金箔造りに適した湿度環境であることが、金沢のシェアを圧倒的にしている理由の一つとなっている。
また、石川県の能登半島にある輪島の伝統工芸と言えば、漆塗りである輪島塗。
この漆塗りを乾燥させるためには、湿度が必要って、知っていました?
乾燥させるのに、湿度?
矛盾しているようですが、これは、漆に含まれる成分が原因です。
細かな理屈は省きますが、漆に含まれる成分が空気中の水分から酸素を取り入れ、化学反応を起すことにより、漆を固体化させるというのが、おおざっぱな理屈です。
つまり、漆塗りには、乾燥した気候よりも多湿な気候が適しているということです。
金沢や石川県を代表どころか、日本を代表する伝統工芸に欠かせない要素が湿度ということ。
逆に言うと、工芸品を伝統にするほど程、金沢は湿度が高いということが分かると思います。
ただ、実際に転勤で金沢で生活をするとなると、特に冬の湿度はかなり厄介なものに・・・。
具体的には、
ということに、集約されます。
上でも書いたように、金沢の年間約48%の日で、雨や雪が降ります。
必然的に洗濯物は部屋干しの機会が多くなる。
では、金沢では部屋干しにすると洗濯物は乾くのか?
残念ながら、対策をしないと乾きません。
何故なら、金沢では冬型結露が発生する程、多湿なため。
どうして、冬型結露が起こるのか?
それは、金沢では外が寒く、窓や壁が冷やされている一方で、室内は暖かい上に、金沢の気候の特徴である湿度が高い状態だから。
東京や大阪では冬は乾燥した気候なので、室内に外気を取り入れれば、結露は防ぐことが出来ます。
そもそも、東京や大阪でも冬に結露は発生しますが、原因は金沢とは異なります。
東京や大阪では、冬には水蒸気の発生するストーブなどの暖房器具や加湿器を使用しますよね?
その温められた室内と加湿により、東京や大阪では結露が発生します。
だから、換気で冬の乾燥した空気を室内に入れれば、結露は減らすことが出来ます。
一方の金沢では、外気自体の湿度が高い為、室内の換気をしても効果はほとんどありません。
まれに乾燥した日があっても、特にマンションは戸建て住宅よりも気密性が高い為、結露しやすいと言えます。
では、金沢市民は、冬の湿度対策として何をしているか?
除湿器の導入です。
一口に除湿器といっても、衣類を乾かすだけなのか?部屋全体を除湿するのか?により、選ぶ機械・タイプが異なりますので、間取りや目的を考慮した上で、選ぶ必要があります。
結露した壁等を放置するとカビが発生し、健康に害を及ぼします。
カビそのものだけでなく、カビをエサとするダニも発生し、これまた健康に害を及ぼすことに。
ちなみに、マンション住まいの我が家では、除湿器2台、浴室乾燥機、衣類乾燥機を装備しています。
洗濯物が乾かないだけでなく、健康にまで害を及ぼしかねない金沢の湿度。
金沢に住む際には、除湿器が必需品となります。
いかがですか?
金沢は、年間を通じて湿度が高い気候です。
その湿度が、金箔や輪島塗などの伝統工芸を育みました。
一方で、実際に金沢に住むとなると、湿度が現実の問題となります。
金沢では、湿度対策をしないと健康に影響を及ぼしかねません。
金沢に転勤で住むことになった際には、湿度対策を事前に頭に入れておいて下さい。